大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

富山地方裁判所 昭和44年(わ)152号 判決

本店所在地

富山県新湊市本江二七九五番地

東洋ガスメーター株式会社

(右代表者代表取締役

篠原治吉)

本籍

富山県高岡市大坪町一丁目五二番地

住居

富山県高岡市広小路二番九号

会社役員

篠原治吉

大正二年一月二日生

右被告人らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官吉田年宏出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

1(一)被告東洋ガスメーター株式会社を罰金三五〇万円

(二)被告人篠原治吉を懲役六月

にそれぞれ処する。

2但し被告人篠原に対しこの裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社東洋ガタメーター株式会社はガスメーターの製造販売の業を営むもの、被告人篠原治吉は同会社代表取締役としてその業務全般を統轄掌理しているものであるが、同被告人は、同会社の業務に関し、法人税を免れるため、公表経理上架空の材料仕入を計上しあるいは製品売上の一部を公表経理上除外するなど不正な方法により、会社の所得を秘匿したうえ、

第一、昭和四一年八月三〇日、高岡市博労本町五番三〇号(旧町名鴨島一六〇番地)所在の高岡税務署において、同税務署長に対し、同四〇年七月一日より同四一年六月三〇日までの事業年度における被告会社の所得金額が二、五一三万八、一五九円でありこれに対する法人税額が八七九万七、七〇〇円であるのに、所得金額が三九一万五、五四四円でありこれに対する法人税額が一一六万三、九五〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、右事業年度分の正規の法人税額と申告税額との差額七六三万三、七〇〇円については法定の納付期限に納付せず、もつて、不正な行為により右同額の法人税を逋脱し

第二、同四二年八月三一日、前記高岡税務署において、同税務署長に対し、同四一年七月一日より同四二年六月三〇日までの事業年度における被告会社の所得金額が三、一三六万二、七〇〇円でありこれに対する法人税額が一、〇四八万〇、五〇〇円であるのに、所得金額が一、二五五万九、六八九円でありこれに対する法人税額が三九一万一、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出して右事業年度分の正規の法人税額と申告税額との差額六五六万九、一〇〇円については法定の納付期限に納付せず、もつて、不正な行為により右同額の法人税を逋脱したものである。

(証拠の標目)

判示各事実につき

一、被告人兼被告東洋ガスメーター株式会社代表者篠原治吉の当公判廷における供述

一、被告人篠原治吉の検察官に対する各供述調書

一、被告人篠原治吉の大蔵事務官に対する各質問顛末書

一、羽岡健三の検察官に対する各供述調書

一、羽岡健三の大蔵事務官に対する各質問顛末書

一、水越孝の検察官に対する供述調書

一、水越孝の大蔵事務官に対する各質問顛末書

一、水越二郎の検察官に対する供述調書

一、水越二郎の大蔵事務官に対する各質問顛末書

一、査察官作成の各査察事件調査事績報告書並びに調査報告書

一、安田峰子、安田ときの大蔵事務官に対する各質問顛末書

一、金剌荘三(金剌磯子)、竹内幸一作成の各上申書

一、越中和喜知、町野雅、円山伊三郎、佐藤泰章、宮規矩夫、番随長一、山田文之、放生一、伏江弘一、津田友吉、松下理八郎、池田三義、新谷邦夫の大蔵事務官に対する各質問顛末書

一、津田友吉、金子繁三郎(松原昭彦)、磯貝貞吉、松下理八郎、小山正一、小黒孝也、忠内正之、梅本和男(巽泰助)、松本義房、桝山正一、余西間平、木村信一(根尾正)、橋本安之、麦谷茂吉(松本一郎)、水巻久哉作成の各上申書

一、大坪昭雄作成の普通預金元帳写

一、今井昭次、中山吉昭、堀井勇作作成の各上申書

一、中山吉昭作成の証明証

一、黒部忠俊名義の供述書

一、西山敬雄(中出英男)、小野田忠(若松政行)、武井千万人(武井専次郎)、作成の各回答書

一、犬飼亀雄、中瀬信一、長柄常次郎、垣沢三信の大蔵事務官に対する各質問顛末書

一、水越二郎(羽岡健三)、羽岡健三、長柄常次郎(畠山正二)、金剌荘三、中瀬信一、川口敬三、水越孝(水越二郎)作成の各上申書

一、大蔵事務官作成の各証明書

一、大蔵事務官作成の上申書

一、検事作成の電話聴取書

一、検察事務官作成の電話聴取書

一、登記官認証の閉鎖登記簿の謄本並びに抄本

一、登記官認証の登記簿謄本

一、国税査察官作成の各報告書

一、大蔵事務官作成の各脱税額計算書

一、押収してある元帳六冊(昭和四四年押第四七号の1)、総勘定元帳三冊(同号の2)、金銭出納帳二冊(同号の3)、銀行勘定帳四冊(同号の4、5)、経費明細帳八冊(同号の6、7)、経費買原簿二綴(同号の8)、手形受払帳七冊(同号の9、11、12)、手形記入帳一綴(同号の10)、仕入元帳二綴(同号の13)、買原簿二綴(同号の14)、売上帳六冊(同号の15、16、17)、売原簿七綴(同号の18)、固定資産台帳一冊(同号の19)、源泉徴収簿一綴(同号の20)、営業所原簿一冊(同号の21)、未払金台帳一冊(同号の22)、負債元帳一冊(同号の23)、商手残高帳一綴(同号の24)、主要科目明細帳一冊(同号の25)、振替伝票二五綴(同号の26 27)、材料領収書二三綴(同号の28、29)、納品書(B)六綴(同号の30)、小切手帳控綴三綴(同号の31)、小切手控一九冊(同号の32、33、34)、決算報告書綴三綴(同号の35、36、37)、リコー時計契約書類一綴(同号の38)、特許権譲渡証一綴(同号の39)、特許関係書類一綴(同号の40)、株式保有に関する公正証書一綴八一袋(同号の41)、メモ帳一綴(同号の42)、借入金関係メモ一葉(同号の43)、手帳一冊(同号の44)、普通預金通帳一冊(同号の45)、代金取立手形預り手帳一冊(同号の46)

(法令の適用)

一、被告人篠原の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項(七四条一項二号)に該当するところ、所定刑中それぞれ懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内において同被告人を懲役六月に処し、なお諸般の情状を考慮し同法二五条一項を適用してこの歳判の確定した日から二年間右の刑の執行を猶予し、

二、被告会社については、その代表者である被告人篠原が同会社の業務に関して前示の各違反行為をしたものであるから、法人税法一六四条一項に従い同法一五九条一項の罰金刑を科すべく、しかして右各違反行為は前示のとおり刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で同被告会社を罰金三五〇万円に処する。

よつて注文のとおり判決する。

(裁判官 木村幸男)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例